Notice
2022年12月4日(日)
【医師国家試験】2022-F57
18 歳の男子。複視を主訴に来院した。10日前、野球の試合中にボールが左眼部に当たった。左眼瞼の腫脹と皮下出血は軽快したが、物が二重に見えるという。視力は両眼とも良好であり、眼内に異常を認めない。左方視、右方視、下方視で異常を認めない。上方視時に複視を訴える。 左眼の障害部位はどれか。2つ選べ。
a 上直筋
b 下直筋
c 下斜筋
d 眼窩上壁
e 眼窩下壁
【正解】b, e
【診断】眼窩底骨骨折、眼窩ふきぬけ骨折、ブローアウト・フラクチャー
【解説】
目のまわりは眼窩といい、骨で囲われています。
上壁は脳と、内側壁は鼻腔に、下壁は副鼻腔に接しています。
外側には骨はありません。
目に何かがぶつかったとき、サッカーボールくらいの大きなものであれば周りの骨が守ってくれます。
しかし野球ボールくらいの大きさであれば、眼球に直接衝撃があたるだけではなく、力の逃げ場所がないので、周りの骨が折れてしまいます。
これが眼窩ふきぬけ骨折です。
副鼻腔(上顎洞)と接している下壁が最も折れやすいです。
治療は基本的には経過観察で自然に治ることを待ちます。
しかし骨折した場所に筋肉や血管が巻き込まれた場合は緊急手術となります。
おそらくこの症例では下壁の骨折と、下直筋が巻き込まれたため、上方を見たときに左眼が上転せずにものがダブってみえる、複視を自覚したと考えます。
長文をお読みくださりありがとうございます。
2022年の医師国家試験の解説はこれで終了です!
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