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医師国家試験2022(第116回)解説⑨F16

2022年11月27日(日)

【医師国家試験】 2022-F16

視野異常と疾患の組合せで誤っているのはどれか。

a Bjerrum暗点ー 緑内障

b 盲中心暗点 ー 視神経炎

c 両耳側半盲 ー 下垂体腺腫

d 水平半盲 ー 加齢黄斑変性

e 輪状暗点 ー 網膜色素変性

 

【正解】d

 

【解説】

視野欠損の形には、疾患によって特徴的な所見があります。

 

緑内障は視神経乳頭(視神経の出口)が陥凹し、それに対応する視野が欠けてくる病気です。

最初は周辺がやられて、最後に中心部がやられてきます。(傍中心暗点)

中心から10-20度の領域をブエルム領域といいます。緑内障ではこの領域が障害されます(ブエルム暗点)。

 

視神経が腫脹する原因は主に2つあります。

視神経炎とうっ血乳頭です。

視神経に炎症が起こると中心部が見えなくなります。(中心暗点)

頭蓋内圧が亢進して両眼の視神経乳頭浮腫が起こることをうっ血乳頭といいます。

その場合には、元々見えない部分(マリオット盲点)が拡大します。

 

この2つは視野検査で鑑別することができます。

また重症な視神経炎ですと、中心暗点がマリオット盲点の方への拡大し暗点が癒合します。(盲点中心暗点、盲中心暗点、ラケット状視野欠損)

 

視神経は脳と繋がる前に交叉しています。

視交叉の繊維は網膜の鼻側と繋がっていて、網膜と視野は左右上下逆転しますので、耳側(外側)の視野と対応します。

視交叉の部位の腫瘍が、視交叉を圧迫すると両眼の外側半分が見えなくなります。(両耳側半盲)

逆に両鼻側半盲とは、視交叉を左右から均等に圧迫されないと起きないので、稀です。基本的に起きないと思っていいでしょう。

 

眼動脈はいくつかに分岐し、網膜中心動脈は網膜の浅い層を栄養しています。毛様体動脈は脈絡膜を栄養し、脈絡膜は網膜の深い層を栄養しています。

網膜中心動脈が閉塞する病気が、網膜中心動脈閉塞症です。

また毛様体動脈が閉塞する病気が、前部虚血性視神経症です。我々は英語の頭文字をとってAION(アイオン)と呼んでいます。AIONは上下半分が急に見えなくなります。(水平半盲)

 

加齢黄斑変性は、網膜の中央部である黄斑部に新生血管が生じる病気です。新生血管から出血し中心が見えなくなります。(中心暗点)

 

網膜色素変性は、原因不明で網膜が変性してくる病気です。

周辺が障害され中心は最後まで残ります。(求心性視野狭窄)

周辺が障害されると、ドーナツのような視野障害を認めます。(輪状暗点)

 

これでもかなり簡略化しています。
まだまだ説明が足りませんが、今日はこの辺にしておきましょう。

 

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