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医師国家試験2022(第116回)解説⑧E32

2022年11月20日(日)

【医師国家試験】2022-E32

72 歳の女性。右眼痛を主訴に来院した。昨夜、右眼の痛みとともに頭痛と悪心が出現し、次第に増悪している。右眼に高度の毛様充血、角膜浮腫があり、瞳孔が散大、中等度の白内障を認める。 診断に有用な検査はどれか。

a 網膜電図

b 眼圧検査

c 頭部 CT検査

d 眼部超音波検査

e 光干渉断層計OCT

 

【正解】b

 

【診断】急性緑内障発作

 

【解説】

眼球は水風船みたいなもので眼内で作られた水(房水)は、前房の隅角にある繊維柱帯、シュレム管というところに排出され、ある一定の硬さ(眼圧)を保っています。

この眼圧が上がると目の奥の神経を圧迫し緑内障という病気になります。

(眼圧が正常な正常眼圧緑内障というものあるのですが、長くなるのでおいておきましょう)

 

この隅角のスペースが狭い人と深い人がいます。

おおむねは眼球の大きさに依存し、眼球が小さい(遠視)人に前房、隅角が狭い人がいます。

人間、歳をとるとみんなが白内障という病気になります。

白内障は水晶体というレンズが濁る病気です。濁るだけではなく少し膨隆してきます。

すると前房のスペースがさらに狭くなってきます。

 

あるときに急にそこがピタッと閉塞してしまう病気、それが急性緑内障発作です。

すると眼房水は全く出て行かないため、眼圧が著明に上昇します。

眼痛だけではなく頭痛、悪心、嘔吐をひきおこします。

結膜は著明に充血し、高眼圧により角膜は浮腫となります。

瞳孔は中等度に散瞳し、対光反応はありません。

 

救急外来において、見逃される可能性がある疾患です。

なぜなら患者さんはあまりの具合の悪さにずっと目をつぶっているからです。

頭痛と嘔吐を主訴に来院した患者さんは採血や頭部CTを優先的に行ってしまいがちです。

鑑別の一つに急性緑内障発作を頭の片隅に入れておいてください。
目をみたらおかしいと分かりますので。

 

#医師国家試験 #国家試験 #医学生 #急性緑内障発作

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